第40章 隠し事は案外バレている。
総悟「呼び捨てでいいのに。」
葵咲「あっ、あの…。」
総悟「っていうか、その方がいいんですけど。」
葵咲「そ、そ、そう…ご・・・・くん。」
総悟「・・・・・。」
最初は面白がっていた総悟だが、進まぬ会話にだんだんじれったくなってきた。
少し顔を離して不服そうな表情を浮かべると、葵咲は総悟を押しやるように両手を前に出して言い訳を述べた。
葵咲「いやっ!いきなり呼び捨てとか!なんか恥ずかしいっていうか!照れくさいって言うかっ!」
総悟「まぁいいや。暫くは葵咲に任せまさぁ。今までどおりそーちゃんでも総悟君でも。」
葵咲「総悟ちゃん。」
総悟「…混ぜるのはやめてもらえますか。なんか微妙なんで。」
ツッコんだ後は呆れ顔を改め、黒い笑みをもらす総悟。そして右手で葵咲の顎をくいっと持ち上げて離していた顔を再び近付けた。
総悟「・・・・これからは俺漬けになるよう、じっくり時間かけて調教してやるよ…。」
葵咲「えっ!?ちょ…。」
総悟が葵咲に唇を重ねようとしたその時、強烈な踵落としが総悟の脳天を直撃する。
土方「何やってんだオメーはァァァ!!」
総悟は攻撃された衝撃で掴んでいた手をパッと離す。そして振り返りながら頭を摩った。
土方の踵落としが相当痛かったようである。
総悟「いってぇ…。何するんですかぃ、土方さん。」
土方「そりゃこっちの台詞だバカヤロー!!葵咲呼んで来いっつったのに何やってんだよ!…いや!お前を当てにした俺が悪かったわ!!」
総悟の手から開放された葵咲は、総悟と壁の間からするりと抜け出る。そして土方の方へと身体を向けた。
葵咲「どうかしたんです?」
土方「仕事だ。近藤さんの部屋に来い。」
三人は近藤の部屋へと向かった。