第39章 探し物は思わぬところで見つかる。
一方、大江戸第一ビルでは黙々とビーズを集める二人。
暫く経ってビーズがかなり集まった時、土方が葵咲に言葉を掛けた。
土方「もうこれで全部なんじゃねぇか?」
葵咲「あと一つ…ハート型のビーズがあった。」
葵咲の腕の細さならこれで十分だろうと土方は切り上げようとしたが、葵咲はまだ見つかっていないメインのパーツであるハート型のビーズを諦められないでいた。
この場を頑なに離れようとしない葵咲に、土方は一つため息をついて再びビーズ探しに戻る。そんな土方の様子を横目で見た葵咲は、これ以上付き合わせるのは申し訳ないと思い、土方に帰るよう促した。
葵咲「…ありがとう。ここまでで十分だよ。あとは私一人で探すから。土方さんは先に帰ってて。」
土方「こんな場所にお前一人置いてけるわけねぇだろ。高杉がまたお前を狙ってくるかもしれねぇだろうが。」
犯人は現場に戻ると言われている。高杉がこの場に戻ってくることを懸念した土方は、葵咲を一人置いていけないと判断したのだ。だが、葵咲は首を横に振って下を向く。
葵咲「・・・・来ないよ、当分は。来るとしても、色々準備を整えてからだと思う。」
淡々と答える葵咲に、土方は眉を寄せる。
土方「やけに奴の事を知っている風だな。」
葵咲「・・・・・。」
土方「あ、いや。悪ィ。別にお前を疑ってるってわけじゃ…。」
警察という性分がそうさせるのか、感じた違和感が思わず口を出してしまったが、自分が失言をしてしまったと思い、土方は慌てて口を噤む。
だが、葵咲はそんな土方の言葉を聞いていなかったのか、その言葉を遮るように口火を切った。
葵咲「…そりゃ知ってるよ。だって…幼馴染だもん。」
土方「え?」
答える葵咲の声はとても小さく、土方の耳にははっきりとは届かなかった。葵咲は面を上げて土方の方を見据えた。
葵咲「高杉は…幼馴染なんだよ。小さい時から知ってる。私の…一番の幼馴染。初めて出来た・・・・友達だったから。」
土方「!」