第39章 探し物は思わぬところで見つかる。
突き刺すような鋭い視線に、葵咲はたじろいでしまう。一度土方の方へと視線を戻したが、すぐにまた地面の方へと目を逸らした。そして少しの沈黙の後、言いにくそうに言葉を押し出す。
葵咲「・・・・土方さんに…土方さんに貰ったブレスレット。この間戦いの最中、切れて落としちゃったから…。」
土方「え?」
葵咲「それ探しに来たんだよ。」
まさか自分があげたブレスレットを探しに来ているなど思いもしなかった。
それもそうだろう。大した物ではない。成り行きで行くことになった縁日で購入した露天のブレスレットだ。高級なものでもなければ、思い出の品といったものでもない。
少し照れて言う葵咲に、土方もまた頬を赤くしてしまう。
土方「わっ、わざわざ探しに来るようなもんでもねぇだろ。何なら新しいの買ってやるよ。」
そんなに気に入っていたのか?高価なものでなかっただけに、逆に申し訳ない気持ちになる土方。危険を冒してまで探すものでもないので、別のものを再度購入することを提案する。だが、葵咲は首を横に振った。
葵咲「ダメなの。あれでないと。」
土方「? 似たようなもんならいくらでもあんだろ。同じのが欲しいっつーなら同じモン探して…。」
葵咲「土方さんに…“あの時”貰った物だから。その事に意味があるんだよ。」
土方「ちょ、お前…!!」
意味深な葵咲の言葉に、土方は思わず顔を真っ赤にする。成り行きとはいえ、初めて二人で出掛けた休みの日。その時間を大事に思ってくれているのか。そう思うと土方は更に照れくさくなり、今にも湯気まで出そうな勢いになる。