第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。
声をかけられて目を開ける葵咲。先程葵咲の立っていた場所へと視線を移すと、そこには地面に落ちて砕けたコンクリートの破片が散らばっていた。
気付かずにあの場所に立っていたなら、頭部に直撃していた事だろう。打ちどころが悪ければ死んでいたかもしれない。
それを見た葵咲は背筋をゾクリとさせた。そして銀時へと視線を戻して礼を言った。
葵咲「う、うん。ありがと。大丈夫だよ。銀ちゃんの方こそ大丈夫?怪我はない?」
銀時「ああ、大した事ねーよ。それより、やっぱここは…。」
色々な意味で危険だと銀時は考えた。鬼兵隊の者が訪れるかもしれない事も勿論あるが、先日の一戦で古びたビルに負担が掛かっていた事の方が危険を懸念させられる。“探し物”は諦めて帰ることを促そうとした銀時だったが、次の瞬間、銀時に壮絶な攻撃がぶつけられた。
土方「葵咲ァァァ!!」
二人の後を追ってきた土方が銀時に蹴りかかったのだ。その勢いで銀時はビルの壁へと叩きつけられる。
銀時「グファ!!」
葵咲「えぇっ!?土方さん!?」
壁に強く背中を打ちつけた銀時に更なる悲劇が襲い掛かる。壁にぶち当たった衝撃で天井から更にコンクリートが落ちてきたのだ。
落ちてきたコンクリートの塊は面を上げようとしていた銀時の後頭部に直撃した。そして銀時はそのまま気絶する。葵咲は慌てて銀時のもとへと駆け寄った。
葵咲「ちょ!銀ちゃん!大丈夫!?ちょっと土方さん!何すんの!?」
何故突然土方が現れ、しかも銀時にこのような仕打ちを加えるのか全く解せない。葵咲は驚きと怒りの表情を土方へと向けた。
そんな葵咲の顔を見た土方はショックを受けたように青ざめる。