第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。
アイスを片手に戻ってきた葵咲は月詠の姿を探す。
葵咲「お待たせ!あれ?月詠さんは?」
銀時「アイツならもう帰った。」
葵咲「えー!…やっぱいきなり友達は失礼だったかな…。」
銀時「いや、落ち込みすぎだろ!!」
どよ~んとした空気が葵咲を包む。その落ち込みように銀時は激しくツッコんだ。
そして銀時は先程の月詠の伝言を葵咲に伝えた。
銀時「今度ゆっくりランチでもしようってさ。女子力アップ出来るような店紹介して欲しいっつってたぜ。」
葵咲「! うん!お店探しとく!!」
自分が嫌われたわけではないと分かった葵咲は、一瞬で笑顔に戻る。その笑顔を見た銀時は安堵の笑みを零した。
だが、二人に残されたのは笑顔だけではない。この三つのアイス、どうするんだ。銀時は先程のケーキバイキングでもう腹十部目である。その事に対して苦言を申し立てようとした銀時だったが、それよりも先に、葵咲が大きな声を上げた。
葵咲「…あ。あーーーっ!!」
銀時「なっ、なんだよ急に…。」
突然の大声に飛び跳ねるように驚く銀時。お陰さまでアイスを一つ地面に落としてしまった。地に落ちたアイスには、近くにいた蟻達が群がる。普通ならアイスを落とした事に対して怒る葵咲なのだが、それに対しては何も言わない。本当にそれどころじゃないのだろう。葵咲は銀時を放ってその場から立ち去ろうとした。
葵咲「私っ、ちょっと用事思い出したから!」
銀時「おい!ちょっと待てよ!なんだよ、用事って!」
思わず葵咲の腕を掴んで引き止める銀時。その手を振りほどこうとする葵咲だったが、その力は強く、振り返ることしか出来なかった。
仕方なく適当な言葉で手を離してもらおうとする葵咲は、相当慌てている様子だ。