第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。
銀時「それに…お前とアイツは似てるトコがあるからな。」
月詠「? 何処が似ておるというのじゃ?」
むしろ正反対、太陽と月のように思えた月詠。自分よりも日輪の方が似ているのではないかと思えた程である。怪訝な顔をしている月詠に、銀時はもう一度葵咲の方へと目を向けながらその理由を話した。
銀時「荷物を全部一人で背負い込もうとするところ。」
月詠「!」
銀時「アイツ、あー見えて色々抱えこんでるから。」
月詠「・・・・・。」
そう言われて月詠も葵咲の方へと目を向ける。一見何の悩みもなさそうに見える葵咲。幸せな女だと月詠は始め思っていた。だが、それは表に出さないだけであって、本当のところはどうか分からない。うちに秘めた物など、他人は知りえない事なのだ。
初対面の自分が軽々しく判断して良いものではないのだと、少し反省をした。
銀時「お前となら馬が合うかもな。お前も、何でも一人で背負い込もうとすんじゃねーぞ。」
月詠「…ああ。頭の片隅に置いておく。」
静かに言葉を交わした後、月詠は再び煙管をふかしながら足を動かした。その場を立ち去ろうとする月詠を銀時は呼び止めた。
葵咲は追加で購入しようとしているアイスの種類を迷いに迷った挙句、やっとマンゴーと決めてようやく会計を済ませているところだった。
銀時「あ、おい。何処行くんだよ。あいつもうそろそろ戻って…。」
月詠「あの娘に…葵咲に伝えておいてくれぬか。」
銀時「?」
銀時に背を向けていた月詠は、首だけ振り返りながら笑顔で言った。
月詠「近付きの印は露天のアイスではなく女子力がアップするようなカフェランチの店でも紹介してくれ、とな。」
銀時「! ああ。伝えとくわ。」
そう言って月詠はその場から静かに立ち去っていった。