第4章 自分のドッペルゲンガーじゃなければ多分死なない。
半ば強制的に万事屋を追い出された総悟は、もう一度恒道館道場の方へと足を向けた。玄関口からそっと葵咲の様子を伺うつもりでいたのだが、ちょうどその時家から出てきた葵咲と鉢合わせた。
葵咲「お妙さんのお客さんですか?」
総悟「えっ…あ、あの…俺…。」
葵咲「?」
想定外の遭遇だ。心の準備をしていなかった為、総悟は言葉に詰まり、もじもじとしてしまう。慌てた総悟は葵咲から顔を背け、目線を下にやった。その時、葵咲が妙な看板を持っている事に気が付いた。
総悟「『用心棒承ります』…?」
そう言われた葵咲は、総悟の視線の先にある、自分が持っている看板を見ながら答えた。
葵咲「ああ。私、護り屋、ボディーガードのお仕事してるんです。」
奉公先が見つかるまでの間、志村家に世話になる事が決まったとは言え、何もしないわけにはいかない。そう思って妙に許可を貰って護り屋の看板を出させてもらう事にしたのだった。その話を聞いた総悟は、目を輝かせながら言った。
総悟「あの、俺の用心棒お願い出来やせんか!?」
葵咲「!まいどありぃ!」
突然舞い込んだ仕事に葵咲は喜び、総悟の申し出を受け入れた。