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銀魂 - 雪月花 -

第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。


一方、土方達が見ている事、ましてやそんな誤解まで招いている事など露ほども知らない葵咲は、いつもの調子で深々と頭を下げて月詠に挨拶した。
勿論、その会話内容は土方達には届いていない。


葵咲「初めまして、市村葵咲です。幼馴染なんです、私達。」

月詠「へぇ。ぬしにこんな幼馴染がおったとはな。」


幼馴染と聞いて少しホッとする月詠。幼い頃から見知った友ならば仲が良い事にも納得がいく。だがそれと同時に意外であるとも思えた月詠は、左手を顎に当てながら感心したように唸りを上げたのだった。
それに対して銀時は睨むように今度は月詠の方を見やる。


銀時「どういう意味だよ。お前のそれもどうせ俺の事けなしてんだろ。トーンで分かるんだよ。」


全てにおいてネガティブに捕らえる銀時。でもその銀時の考察は間違ってはいない。月詠はちゃらんぽらんな銀時に、ふわふわした女の子らしい女子の幼馴染がいることが意外だったのだ。
それには葵咲は特に反応はせず、銀時と月詠とを交互に見ながら尋ねた。


葵咲「えっと…銀ちゃんのお友達、ですか?」

銀時「ああ。まーそんなとこだな。」


適当に返す銀時。始めからちゃんとした紹介など期待していなかった月詠は自ら自己紹介を行なう。


月詠「わっちは吉原で自警団をしておる。月詠でありんす。以後良しなに。」


丁寧な月詠の挨拶を笑顔で受け取る葵咲。そして手に持っていたアイスを月詠の前へと差し出した。


葵咲「月詠さん。良かったらこれどうぞ。お近づきのしるしに!」

銀時「お近づきの印にアイスってお前…。」


思わず呆れ顔でツッコむ銀時。月詠は申し訳なさそうな顔で受け取れないといった風に首を横に振った。


月詠「じゃが、これはぬしが食べたかったものじゃろ。」

葵咲「私の分はもう一つ買ってくるんで。あ、良かったらそれ一口下さい。私の分も食べてもらっていいんで。」

銀時「お前それ初対面で言う台詞か?」


更に呆れ顔になる銀時。確かに『一口くれ。』など初対面で言う台詞ではない。だが葵咲の笑顔は耐えなかった。
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