第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。
そんな二人のやり取りを間近で見ていた月詠は、冷めた視線でツッコむ。
月詠「おい。」
銀時「あ、悪ィ。」
その場に置いてけぼりになっていた月詠が割って入ったことで、銀時は月詠の存在を思い出した。完全に二人の世界に入っていた。
声を掛けられた銀時は、少し申し訳なさそうな顔を向けて月詠に謝った。その事で葵咲も月詠の事に気付く。葵咲がきょとんとした顔で月詠に目を向けると、月詠はくいっと小指を立てて銀時に尋ねた。
月詠「…その娘、ぬしのコレか…?」
銀時「え。あ、いや…。」
“コレ”とは勿論“彼女”の意。先程の二人のやり取りは、傍から見れば彼女の我侭に付き合う彼氏といったカップルの絵面だったからだ。
だが実際二人は付き合っているわけではない。銀時はそれを否定しようとするが、それよりも先に葵咲が笑って手を振った。
葵咲「あはは。やだなぁ。そんな風に見えますか?銀ちゃんなんかに私は勿体ないですよ。」
銀時「それ普通逆じゃね?お前完全に俺の事下に見てるよね。」
そう、普通なら謙遜の意で“私なんかに彼は勿体ない”と使うだろう。それを逆に使ったのは今回ばかりは葵咲の天然ではなく、素でそう言ったらしい。それが分かった銀時はムッとした様子で葵咲を睨んだ。
そんな三人のやり取りを公園の茂みに隠れて窺う土方と総悟。
総悟「あのサインって…。」
会話までは聞こえていない二人は月詠のサインを見て、色々と推測する。葵咲は笑って手を振り、銀時は拗ねたような表情をしている。それは照れた葵咲が笑って誤魔化し、それを見た銀時が肯定されない彼氏という存在を拗ねているように見えたのだった。
(土方・総悟:やっぱり二人は…デキてるゥゥゥ!?)