第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。
葵咲「銀ちゃーん、お待たせ~。」
笑顔で戻る葵咲の手には、コーンアイスが二つ握られていた。一つはイチゴ、もう一つはチョコレートだ。
銀時はてっきり葵咲一人分のアイスを買いに行ったものだと思っていた為、二つ買って戻ってきた事に思わずツッコミを入れる。
銀時「…なんで二個持ってんの。」
葵咲「銀ちゃんも食べるでしょ?」
銀時「いや、食わねーよ。つーか食えねーよ。」
ケーキバイキングでたらふく食べたのはついさっきの事だ。今はまだお腹はいっぱい、食べられるはずもない。
断りを入れるも、なおも自分の前にずいっと差し出されるアイスを、銀時は渋々受け取る。
葵咲「どっちの味も食べたかったからさ~。半分ずつしようよ。ってか半分こしてよ。」
銀時「それ、完璧お前の都合だよね?」
気を遣って銀時の分も一緒に買ってきたわけではない。100%自分都合で渡されるアイスに、銀時は少し肩を落とした。
そんな銀時の様子など気にも留めない葵咲は淡々と続ける。
葵咲「料金はー…。」
銀時「しかも金取るのかよ。」
更に肩を落とす銀時。そして次の葵咲の発言は銀時を更に失望させる。
葵咲「540円でーす。」
銀時「スイマセーン。あそこの看板に324円って書いてあるんですけど。200円上乗せされてるんですけど。しかも消費税分までキッチリと!」
ワゴンの横に出ている看板、そこにデカデカと税込み金額が書かれていた。324円。それを銀時はしっかり見たのだ。だが葵咲は謝るでも訂正するでもなく、笑顔でさらっと返す。
葵咲「買出しの手間賃でーす。」
銀時「俺がいつ買って来いって頼んだよ!!」
葵咲「まーまーいいじゃん。もっと柔軟になろう。」
銀時「なれるかァァァ!!」
自分の都合の良い風にしか推し進められない。とうとう銀時はブチ切れた。