第38章 友達の友達は友達って考えてる奴の方が実は意外と友達が少ない。
真剣な眼差しで地面一点を見つめ、黙りこくっている銀時。
その姿を見た葵咲は心配そうに銀時の顔を覗きこんだ。
葵咲「銀ちゃん?どしたの?」
銀時「…いや、何でもねぇよ。」
葵咲に桂との会話内容を話すべきかどうか、少し考えた銀時だったが、まだ何も確かな事実が得られていない今はまだ話すべきではないと考えた。
銀時「とにかく、警戒だけはしとけよ。」
葵咲「? う、うん。」
語られないのであれば問い詰める事も躊躇われる。もやもやが残ってしまったが、葵咲はとりあえず頷いた。
葵咲が銀時から目を逸らすと、目の前にある公園の中でアイスクリームを売っているワゴンが出ているのが目に入った。
葵咲「…あ。アイスクリーム屋さん!美味しそ~。」
銀時「おいおい。まだ食う気かよ。」
目を輝かせてワゴンを見つめる葵咲に対して、銀時は冷ややかな視線を送った。どれだけ食べれば気が済むんだ。それはスウィーツ好きの銀時でも呆れるほどだった。
だが葵咲はそんな銀時の言葉にも構うことなく、笑顔で答える。
葵咲「デザートは別腹!」
銀時「さっきのメインがデザートだったんだけど。」
銀時のツッコミは無視して、葵咲はワゴンへと向かって駆け出した。
葵咲「ちょっと買ってくるから待ってて。」
銀時「あ。おい!…ったく。」
ボリボリと頭を掻きながら、銀時も仕方なく葵咲の走って行った先へと足を向ける。
だが歩き出そうとしたところで、背後から声を掛けられた。
「銀時ではないか。」
振り返るとそこには月詠が煙管をふかしながら銀時の方へと足を進めていた。
銀時「ん?おぉ。なんだ、お前が吉原の外にいるなんて珍しいな。」
月詠「日輪に買い物を頼まれてな。ぬしはこんなところで何を?」
銀時「ああ。俺は…。」
今何をしているのか銀時が説明しようとした時、葵咲がアイスを買って戻ってきた。