第37章 自分を狙っている暗殺者は一人だけとは限らない。
銀時「けど、なんでこいつ、葵咲の事調べてんだよ?」
桂「目的は分からん。先日、この男はお縄になったそうなんだが…。」
銀時「なんだよ、だったら心配いらねぇじゃねーか。」
調べられようが何しようが、目的は分からずとも当の本人が捕まっているのなら、もう何も心配ないだろう。
そう考える銀時の考えは浅はかだと言わんばかりに、桂は首を横に振って言葉を付け加える。
桂「取調べの際、やたらと葵咲の事を口にしていたらしい。」
銀時「!」
桂「真選組の女隊士に会わせろだとか、そいつが出てきたら色々話してやる、などと喋っていたそうだ。」
銀時「・・・・・。」
目的が分からないだけに余計に気味が悪い。考え込む二人の間に沈黙が下りた。少しの間を置いたが、その疑問の答えがここで出るはずもなく、やがて桂が言葉を発した。
桂「勿論、葵咲は入院中だ。出られるわけもないが。」
銀時「仮に入院してなかったとしても、そんな危ねぇ奴の前にゃ、真選組(あいつら)は葵咲を出さねぇだろ。」
桂「今この男は獄中とはいえ、警戒は必要だろう。俺も引き続き調べておくが、銀時、お前も注意してくれ。」
その言葉だけを残し、桂は静かに立ち去って行った。