第37章 自分を狙っている暗殺者は一人だけとは限らない。
銀時「まぁ確かに、真選組(あいつら)の中には葵咲を疑うような連中はいねぇ…か。となりゃあ・・・・。」
桂「…そこは俺達が知る由はない。今は真選組(ヤツら)が葵咲を疑っていない事実が分かれば十分だろう。」
銀時の話そうとした先の言葉を、桂は遮るように首を横に振る。どうやら今桂が話したいのは、その先の事実ではないらしい。
だが、そうなると桂は何を言いたいのか。分かり兼ねた銀時は片方の眉を上げて桂を見る。
銀時「じゃあお前は何を懸念してんだよ?」
桂「今回色々と調べていると、とある事実が分かった。」
銀時「とある事実?」
事実内容を話すよりも先に、桂は自分の袖の下へと手を伸ばし、そこから一枚の写真を取り出した。そしてその写真を銀時へと差し出す。
写真に写った人物を見た銀時は、目を見開いて声を上げた。
銀時「!! こいつは…。」
桂「知っているのか?」
銀時「…ちょっとな。」
それ以上は写真に写っている人物について語ろうとしない銀時。桂も特に説明を求めはしなかった。銀時とその写真の人物の関係性よりも、今自分が知っている情報の方が重要だと考え、話の本題へと入っていった。
桂「最近執拗に葵咲の素性や身辺について探っていたようだ。もしかすると、真選組はこの男が葵咲に接触してくると踏んでいたのかもしれん。」
銀時「・・・・・。」
桂「そういう意味では真選組(ヤツら)の選択は正しいと言えるのかもな。葵咲にその気がなかろうと相手から接触してくる可能性が高い。そうなれば、葵咲の命も危険だ。それに、そのことでまた葵咲まで疑われかねん。」
本人に接触する気がなかろうと、攘夷志士と接触しているとなれば、攘夷志士との関係性を疑われる可能性がある。そうなれば真選組隊士として切腹を余儀なくされるだろう。そういった意味でも、真選組は葵咲を守ろうとしている。警備を強化して無駄な接触を避けようと考えたのではないかというのが桂の見解だった。
だがここでもう一つの疑問が浮かび上がった。