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銀魂 - 雪月花 -

第37章 自分を狙っている暗殺者は一人だけとは限らない。


それは少し前の出来事。葵咲がまだ入院中の話だ。

かくれんぼが無事終了した後日、桂は銀時の元へと訪れていた。“元へと訪れた”、と言っても銀時の家へと直接訪れたわけではない。話の内容が内容だっただけに、家へと訪れる事が躊躇われたのだ。万事屋へと行けば新八と神楽もいる。今この次点で二人には話すべきではないと桂は判断したのだ。

桂はパチンコ屋から出てくる銀時を捕まえ、周りの目を気にしてあまり人気のない場所へと誘う。


銀時「なんだよ。こんな人気のねー場所に連れてきやがって。これ誰かに見られたら完全に怪しまれんだろーが。俺そっちの気はねーっての。」


頭をボリボリと掻きながら迷惑そうな顔をする銀時。いくら銀時と桂が仲の良い友人(?)と言っても、そんな噂を立てられるのはごめんだと思ったのだ。そんな銀時の話とは相反するように、桂は至って真剣な顔つきで口火を切った。


桂「なぁ銀時、今回の奴らの葵咲に対する警備、少し異常だとは思わなかったか?」


“奴ら”とは勿論、真選組の事。いくら高杉が関わっていたからといって解決した事件だ。そこまで厳重に警備する必要はあるのだろうか?それは銀時にも浮かんでいた疑問だった。
銀時は真剣な眼差しで少し考えてから、言葉を返した。


銀時「…ああ。ありゃただの護衛じゃねぇな。あいつの素性を知って警戒してやがる。」

桂「俺も…最初は土方あたりが葵咲をまだ疑っているのだと思っていた。だが、先日の奴の発言を聞いて、それは違うという事が分かった。」

銀時「・・・・・。」


桂が示す土方の発言とは、桂が葵咲の見舞いへと訪れ、窓の外で必死に身を隠していた際に聞こえてきた会話の事である。
土方は葵咲の事を心底気に掛けていた。素性など気にする必要はないと、自分に頼って欲しいとまで言っていた。その土方の言葉に嘘偽りがあったとは思えなかったのだ。
そしてその会話を聞いていない銀時もまた、土方が葵咲を気に掛けていることは知っている。いや、土方だけではない。近藤や総悟、他の真選組隊士達の誰もが葵咲を敵視していない事を知っていた。銀時は桂の意見に頷く。
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