第36章 クーリングオフがきかない商品もあるから注意しろ。
差し出されたパフェを食べようと口を閉じたが、口の中にパフェはない。空振りだ。葵咲が食べる直前、銀時はスプーンを手前に引いたのだ。
この大きな空振りに、銀時は大爆笑である。
銀時「ギャハハハハ!バーカ!俺が本気でパフェやると思ったのか!すげーアホ面!!」
葵咲「~~~っ!サイッテーーー!!」
まんまとハメられてしまった葵咲は、顔を真っ赤にして怒りを露にする。
大いにからかわれた事により、余分にお金を払って銀時に負担を掛けさせてしまうという気負いが一瞬でなくなってしまった。葵咲は少し怒ったような口調で店員を呼んだ。
葵咲「すいませーん!」
その時、何処からともなく銀時目掛けてフォークが飛んできた。フォークは銀時の鼻先をギリギリ掠めて、その先の窓枠へと突き刺さる。
フォークは総悟が投げたものだった。総悟の目には二人がラブラブ食べさせ合いっこをしてるように見えたのだ。フォークが銀時の顔を掠めたその際に、銀時の前髪の何本かが切れたらしい。前髪がパラパラとテーブルの上に落ちた。銀時がその実情を把握するまでに少しの時間を要した。
銀時はテーブルに落ちた自分の髪と、窓枠に突き刺さったフォークを交互に見てようやく現状を把握する。そして大声で叫んだ。
銀時「・・・・え。えぇぇぇ!?」
ちょうどその時、先程葵咲が呼んだ店員がテーブルへと訪れる。
「お伺いします。」
銀時「ええええぇぇぇぇぇ!?」
店員などおかまいなしで銀時は叫び続ける。そんな銀時の様子に葵咲は苛立ち、銀時に一括する。そして店員にパフェを注文した。
葵咲「ちょっと銀ちゃん、うるさい。ヨーグルトパフェ一つ追加で。」
「かしこまりました。」
店員が立ち去ったと同時に、銀時はバン!とテーブルに両手をついて立ち上がる。葵咲に慌てた様子で現状を言葉にする。