第36章 クーリングオフがきかない商品もあるから注意しろ。
江戸一のショッピングモール、しかも昼食バイキングの店はこの店だけだ。メニューの数はかなり豊富で、パスタだけで十種類以上、ケーキは軽く二十種類を超えていた。
そんな色とりどりの品揃えを見て葵咲も目を輝かせた。
葵咲「うわ~♪種類多いね!どれにしよう?迷う~!!」
銀時「食べ放題なんだから全部取りゃいいじゃねーか。」
内心はわくわくしている銀時。だが、男としてのプライドなのか意地なのか。はしゃぐ葵咲を見て逆に冷静さを保とうとしていた。
葵咲「そんな!残したら勿体ないじゃん!!」
銀時「じゃあお前の食べ残し、俺が食ってやるよ。」
突然の申し出に少しだけ驚く葵咲。胸をドキリとさせて銀時の方へと向き直った。
葵咲「えっ、でも食べさし汚いよ?」
銀時「別に汚くねーよ。」
葵咲「ぎ、銀ちゃん…。」
銀時「なっ、なんだよ。」
自分が少し大胆な提案をしていた事に今更ながら気付く銀時。だが、葵咲は全く銀時を意識していなかった為か、銀時の想像とはかけ離れた返しをしてくる。
葵咲「やっぱりニートじゃ経済的に厳しいんだね…。」
銀時「いい加減ニートから離れろォォォォォ!!お前そんなに俺をニートにしてぇのか!ニートメーカーか!!」
哀れみを含んだ視線を向けられる銀時。全くもって哀れまれる筋合いなどない為、当然の事ながら激怒した。
二人は適当に料理を皿に取り、席へと戻る。席は簡単に言えばファミレスの窓際の席のような感じだ。テーブルがあり、二~三人くらい掛けられるようなソファのような形の椅子である。
二人は向かい合う形で腰掛けた。そんな二人から近からず遠からずの席で、土方と総悟は二人の様子をじっと窺っていた。こちらの二人の席も同じ作りである。
総悟「土方さん、なんで葵咲と旦那がケーキバイキング来てんですかぃ?」
土方「あ゛ぁ!?だから俺に聞くなよ!!」
かなり苛立った様子の二人。睨むように銀時達の方に視線を向ける。