第35章 ニート街道まっしぐらな奴ほどニートじゃないって言い張る。
銀時「アハハ♪こ~いつぅ~♡ (コツン)」
葵咲「やめてよぉ~♡ アハハハハ~♪」
こんなところだろうか。二人の周りにはバラの花が飛んで見える。
自分達、仲間である真選組よりも先に、全く無関係の人間である銀時が葵咲を迎えに来て、二人仲良く並んで歩いて帰っている…。その事実だけがあれば、土方達の目に一昔前の少女マンガのようなビジョンで映っても仕方ないのかもしれない。銀時と葵咲が幼馴染だという事を知らないのだから。
総悟「…土方さん、何ですかぃ?ありゃあ。」
土方「あ゛ぁ!?知るかよ!こっちが聞きてーよ!!」
二人の苛立ちは増すばかりだ。
葵咲「ちょっと銀ちゃん!私病み上がりなんだから!もっと大事にしてよ!」
痛みのあまり、思わず叫んでしまう葵咲。その声は大きく、土方と総悟の耳にも届いた。
(土方・総悟:!? 大事にする…!?)
完全に勘違いしてしまっている二人の想像は、どんどんあらぬ方向へと進んでいく。
一方、二人の妄想が突き進んでいる事など露ほども知らない銀時達は、普通に会話を続けていた。
銀時「何が病み上がりだ!ピンピンしてんじゃねーか!心配して損したっつーの!!」
そう言って銀時はプイっとそっぽを向く。葵咲はそんな銀時の態度よりも言葉の方に反応を示した。
葵咲「え?心配してくれたんだ?」
銀時「っ!! してねぇ!心配なんか一つもしてねェェェェェ!!」
葵咲「…今自分がしたって言ったんじゃん…。」
無意識のうちに出た言葉だったようである。葵咲からの指摘に、銀時は更に顔を真っ赤にさせて誤魔化そうとする。
銀時「言ってねーよ!いつ!?何時何分何秒!?地球が何回回った時ィィィ!?」
葵咲「えっと…自転は一日一回だから一年で365回…あ、いや、うるう年は366回だから・・・・。」
銀時「ガチで計算してんじゃねーよ。」
頭から湯気が出る程照れていた銀時だったが、真顔で真剣に考え出す葵咲を見て、その熱は一気に冷めた。