第35章 ニート街道まっしぐらな奴ほどニートじゃないって言い張る。
思わずつられるようにツッコんでしまった銀時だが、自分がなおもニートと言われている事に同意してしまったようなツッコミをすぐさま訂正した。そしてその怒りを露にする。
銀時「何この敗北感!折角来てやってんのに何で俺こんな蔑まれてんの!?」
二人がギャーギャーと騒いでいる場所から近からず、遠からずの距離でそれを見守る二つの陰があった。
総悟「土方さん、なんで旦那が一番に迎えに行ってんですかぃ?」
土方「あぁ?知るかよ。こっちが聞きてーよ。」
大江戸病院を急いで出て葵咲の姿を探した土方達。銀時と葵咲はゆっくりと歩いていた為、それはすぐさま見つかった。
だが傍から見れば仲睦まじい様子の二人に、苛立ちを隠せないでいた。
葵咲「ふふふ、でも良かった。銀ちゃんが来てくれて。」
銀時「あ?」
またニート云々言われるのだろうかと構える銀時は、凄みをきかせるような目つきで、低く怒ったような声色を出す。
だが、次の瞬間葵咲から零れ出た言葉は全く違っていた。
葵咲「なんか、凄く安心する。」
温かい笑顔に包まれて発せられるその言葉は、銀時の心をきゅっとさせる。
銀時「ちょ!バッ!そーいう事さらっと言うなよ!」
葵咲「ふふっ。」
急に真面目に改まる葵咲。その優しい笑顔はとても可愛らしく、銀時は顔を真っ赤にして照れる。そしてその照れくささから、葵咲の頭を思いっきり引っ叩いた。
葵咲「痛っ!何すんの!!」
葵咲は涙目である。相当力を入れて叩いたのだから当然かもしれない。
だが、微妙に距離のある位置からそれを見ていた土方と総悟には二人の会話が聞こえず、別のビジョンで写っていた。