第35章 ニート街道まっしぐらな奴ほどニートじゃないって言い張る。
大江戸病院から少し離れた街中の大通り。葵咲と銀時はゆっくりと並んで歩いていた。
葵咲は申し訳なさそうな顔を浮かべながら、銀時の顔を覗きこむ。
葵咲「ごめんね銀ちゃん、わざわざ来てもらっちゃって。」
銀時「なんだよ、んな事気にすんなって。病院来たのは今日だけじゃねーだろ。」
当然の事ながら、銀時は首を横に振る。その安心する返答に葵咲は前へと向き直り、ほっと笑みを零した。
葵咲「そだね、暇だもんね。ニートだもんね。」
銀時「ニートじゃねーよ!!」
まさかそんな棘のある言葉を返されるとは思ってもみなかった銀時。思わず立ち止まって葵咲に向かってツッコんだ。
だが、葵咲は顔色一つ変えずに銀時のツッコミを華麗にスルーし、更に笑顔を向ける。
葵咲「お見舞いも毎日来てくれてありがとね。」
銀時「べっ、別にいいっつってんだろ。」
改めて礼を言われると照れくさいものである。銀時は頬少し赤らめ、咄嗟に目を逸らす。そんな銀時に気付いていないのか、葵咲は構わずに続けた。
葵咲「そだね、暇だもんね。ニートだもんね。」
銀時「だからニートじゃねぇっつってんだろ!!」
さっきの照れくささ撤回!一瞬でもキュンとしてしまった自分がバカらしくなる銀時だった。
葵咲「ってか荷物そんなに持ってもらって大丈夫?私の物だし、せめて半分くらい持つけど…。」
そう、葵咲の入院中の荷物は全て銀時が持ってくれていた。怪我が治ったとは言え、重い荷物を持たせるべきではないと思った銀時なりの配慮である。
まぁ仮に病み上がりでなくとも、男として重い荷物はさりげなく持ってくれるだろうが。
自分の荷物を人に持たせてしまっていることに、少し罪悪感を持った葵咲なのだが、それを銀時はまたもや呆れた顔で注意する。
銀時「だから大丈夫だっつってんだろ。お前はそういうの気にし過ぎ…。」
葵咲「そだね、暇だもんね。ニートだもんね。」
銀時「これはニート関係ねーだろォォォ!!オメーそれ言いてぇだけだろ!!…あっ!つーか俺はニートじゃねぇけど!!」