第35章 ニート街道まっしぐらな奴ほどニートじゃないって言い張る。
場所は大江戸病院。院内を足早に歩く土方。そしてそのすぐ後ろを総悟が歩く。
総悟「ちょっと土方さーん。ついて来ないで下さいよ。」
土方「俺もここに用があんだよ。」
どうやら土方は理由を言わずに半ば強行突破といった形で病院へと来たらしい。
邪魔者を排除しようとする総悟は、執拗に土方へと突っかかる。
総悟「用ってなんですかぃ?」
土方「あいつの病室に忘れ物したんだよ。」
総悟「それ何ですかぃ?俺が代わりに持って帰りますよ。」
土方「自分のモンは自分で持って帰る。」
口では忘れ物だ何だと理由を付けて本音を語らない土方だが、本心では葵咲の事を気に掛けているのだ。それは葵咲が大江戸病院へと運ばれた時の事を考えれば誰でも分かる事だった。総悟もそれを知っている。少しでもライバルを減らしたい総悟は何とか土方を帰そうとするが、土方は応じる様子はない。ここで総悟は強硬手段に出た。
総悟「自分のモン…ってまさか、葵咲の事じゃ…?」
土方「なっ!んなわけあるかよ!!馬鹿言ってんじゃねーぞ!!」
総悟はわざと言ったのだ。こうすれば土方の性格上、踵を返して病院を後にすると思ったからだ。だが土方は引き返さなかった。足を止めることもせずに病室へと向かう。その様子を見た総悟は苦い顔をした。