第34章 トラウマを克服するのに必要なのは身近な人の温もり。
一方土方は、闇雲に葵咲を探すうちに、葵咲の病室のところへと戻ってきていた。
土方「…くそっ、何処行きやがったんだ!?」
焦りが生じてきている土方。頬には一筋の冷や汗が流れていた。
探せる場所は探したはず。一時間以上も院内を探しても見つからないということは、病院の外に出たのではないだろうか。
山崎の報告が間違っていたことも念頭に置き、別の場所へと足を向けようとしたその時、葵咲の病室内から物音が聞こえてきた。
土方「ん?」
土方は病室の扉を開け、中へと入る。そして再度物音がしないかと耳を澄ました。すると、クローゼットから何者かの吐息が聞こえてきたのだった。
土方はクローゼットの扉を勢いよく開けた。
葵咲「ひゃっ!!」
土方「葵咲!!」
灯台下暗し。その言葉どおり、最初の場所が一番案外見つかりにくいのでは、と思っていた葵咲は、再び自分の病室へと戻り、隠れていたのだった。
葵咲の姿を見つけた土方はほっと胸を撫で下ろす。だが、葵咲の様子を見て土方は怪訝な顔を浮かべた。
葵咲「あ・・・・。」
酷く震えている様子の葵咲。土方は葵咲の肩に手をかけ、心配そうに顔を覗きこんだ。
土方「おい葵咲、大丈夫か?どうし…。」