第34章 トラウマを克服するのに必要なのは身近な人の温もり。
桂「『なお、受賞者の発表は、賞品発送をもってかえさせて頂きます。』」
新八「賞品渡すつもりねぇじゃねぇかァァァ!!つーかくだらねー賞品ぐらい羽振りよく出せよ!!」
新八は桂が飛び出た窓枠に手を掛け、下を覗き込みながらツッコんだ。桂は優雅にふわふわと下降していく。
桂「攘夷志士も経費削減に取り組んでいるのでな。ではな、また会おう!はっはっは!!」
そうして桂は闇夜へと消えていった。桂の姿を目で追えなくなった新八は、大きなため息をつく。
新八「ったくもう…。」
呆れ顔で窓枠から手を離し、自分も何処かへ隠れる為にと歩き出した。
そしてその時、またもや異形なものが目に入る。
新八「ん?」
そこには、『拾って下さい。』と書かれたダンボールの箱の中に、膝を抱えて座り込んでいるマダオがいた。
長谷川「・・・・・。」
新八「ってお前も隠れる気ねぇじゃねぇかァァァ!!お前らもっと真面目にやれよ!!」
新八が怒るのも無理はない。これは葵咲の為のかくれんぼではなかったのか。葵咲を先に見つけさせる事が目的じゃなかったのか。その目的が根底から覆されているのだから。
だがここで、自信満々のどや顔で名乗り出る者がいた。
神楽「新八、私を忘れてもらっては困るネ。」
新八「神楽ちゃん!」
その自信に満ち溢れた台詞からすると、少しは期待出来そうだ。それに神楽は中身はまだまだ子ども。缶けりやかくれんぼといった遊びは大好きである。今回のかくれんぼも人一倍楽しみながら真剣に取り組んでくれるに違いない。
その期待を持って新八は神楽に目を向けた。