第33章 長年染み付いた癖はなかなか直らない。
桂「よく聞いてくれた新八君。誰もが喜ぶ品、・・・・攘夷志士タオルだ!!」
フッフッフ、と笑みを零しながらどや顔で出されたのは、よくある真っ白いタオル。そう、粗品と書かれた熨斗が張られているあの薄っぺらいタオルだ。
それを見た新八は全力でツッコんだ。
新八「いらねェェェェ!!攘夷志士タオルいらねェェェェェ!!つかコレ、ただの粗品だろうが!どっかで貰ったタオルにマジックで『攘夷志士』書き添えただけだろうが!!」
よく見ると手書きで『攘夷志士』と書かれている。しかも結構雑に。桂が急いで書きなぐったようだ。
新八の盛大なツッコミに、桂は当然の事ながら怯む様子はない。すかさず真剣な眼差しで反論した。
桂「何を言っているんだ、これは吸水性抜群だぞ。」
新八「誰も吸水性で文句言ってるんじゃねーよ!」
新八のツッコミは無視して、桂は自らの袖の下を探り出す。
桂「勿論それだけではない。参加賞もあるぞ。」
新八「参加賞は何をもらえるんです?…期待はしてませんけど。」
先程の裏切られっぷりもあり、期待など出来ない新八。胡散臭そうな瞳を桂に向ける。
だが、そんな眼差しにも物怖じせず、桂はまたもやどや顔で景品を見せびらかせた。
桂「『んまい棒 サラミ味』だァァァ!!」
新八「10円じゃねぇかァァァァァ!!しかもこれ賞味期限今日なんですけど!?」
んまい棒を手に取った新八の目にまず飛び込んできたのは賞味期限の日付だった。本日の日付が刻印されていることに憤りを見せる新八。だが、これまた桂は涼しい顔で返す。
桂「大分前にトンキホーテで買いだめしていたのをすっかり忘れていてな。」
新八「どっちもお前の在庫処分じゃねーか!!」
激しいツッコミが繰り広げられる中、新八以外の残りの連中は至って真面目な表情を保ってみせた。
銀時「んまい棒とタオルだってよ。気張ってくぞ。」
「おぉォォォォォ!!」
新八「お前ら相変わらず簡単だな!!」
この単純な思考は、いつぞやの花見での出来事を思い起こさせられる新八なのであった。(JC三巻十七訓より)