第33章 長年染み付いた癖はなかなか直らない。
銀時「…フッ、なるほどな。ヅラ、お前にしちゃなかなか良い提案すんじゃねぇか。」
新八「え?どういう事です?トラウマなんでしょ?葵咲さんは参加したくないんじゃ…。」
目的の読めない新八は首をかしげて問い返す。
この問いには銀時や桂ではなく、妙が答えた。
妙「新ちゃん、トラウマだからこそ、よ。」
新八「え?」
九兵衛「嫌な思い出だったのならば、良い思い出に書き換えてやれば良い。そういう事だろう?」
新八「あ、なるほど。」
二人の見解に納得する新八は、右手を顎に当てながら頷く。
桂の提案するかくれんぼルールは次のとおり。かくれんぼの鬼は真選組。彼らに葵咲を見つけさせるというもの。今夜からの警備状態ならば、葵咲がいなくなったとあれば、真選組は血眼になって葵咲を探してくれるだろうと、桂は考えたのだった。
そして、今回のかくれんぼの目的は、葵咲より後に、真選組に見つかることだと。
新八「確かに、あの人達なら葵咲さんの為に夜通し動いてくれそうですね。特に、今は警備強化していますもんね。」
桂「葵咲が見つかれば、真選組は探す事をやめるだろう。よって、これをかくれんぼ終了、このゲームの勝利条件にもする。」
勿論、真選組には“かくれんぼ”をする、などとは言わない。いや、桂の場合は“言えない”といった方が正しいだろうが。
だが、それ故に真選組は葵咲しか探さないだろう。葵咲を探している最中の真選組と出くわしてしまったならば、その者は脱落者とみなされるということだ。
桂「手順だが、まずエリザベスが真選組の気を引き付ける。その隙に俺が葵咲にかくれんぼを提案する。」
エリザベス 『任せなさい』
エリザベスがいつも桂と行動を共にしている事は真選組も承知の事実。エリザベスが病院内に現れれば真選組は必ず捕らえようと動くだろう。
桂「それがかくれんぼ開始の合図だ。葵咲が見つけられるまで隠れられていた奴らには豪華商品を用意しているぞ。」
案外本格的なこの企画に、新八は感嘆の言葉を漏らす。
新八「へぇ~。本格的ですね。何が出るんです?」