第33章 長年染み付いた癖はなかなか直らない。
銀時のモノマネ熟練度等に興味のない土方は、一つため息をついて話を本題へと変える。
土方「…おい。悪いがちょっと外してくれねぇか?」
(銀時:え゛っ!?まさかヅラの事が…!?)
(葵咲:え゛っ!?まさか太郎ちゃんの事が…!?)
バレているのか?そう思った二人は心の中で叫ぶ。
そして銀時が窓の外にいる桂に小声で提案する。
銀時「ヅラ、そこから飛び降りて逃げろ。(小声)」
桂「ここ何階だと思っているんだ!七階だぞ!無理に決まってるだろうが!!(小声)」
銀時「お前はやれば出来る子だ。(小声)」
桂「出来た時は死ぬ時ィィィィィ!!(小声)」
窓枠を掴む桂の手はプルプルしている。先程窓に掴まっていた時から時間が経ったとはいえ、本日二度目。指先の握力にも限界が来ていた。銀時と桂のやり取りは聞こえていない土方だったが、真剣な眼差しは変わらなかった。
土方「こいつに訊きてぇ事があってな。…すぐにすむ。」
銀時「・・・・・。」
土方の真剣な視線を受け止めた銀時は、もたれていた背を窓から離す。
銀時「じゃあ下の売店にでも行ってくるわ。」
葵咲「えっ!ちょ、銀ちゃん!」
“桂はどうするのか?”、流石に土方の前では口に出来ない台詞だった為、言葉をそこで留めてしまうが銀時には伝わっていた。それに対して銀時は小声で返す。
銀時「まぁ大丈夫だろ。(小声)」
桂「大丈夫なわけないだろう!!(小声)」
窓際で放った言葉だった為、外にいる桂にも聞こえたのだ。聞こえた桂はすかさず反論したが、銀時は華麗にスルーする。
そして葵咲の方に向き直って言った。