第33章 長年染み付いた癖はなかなか直らない。
土方が葵咲のもとへと足を向けた頃、病院では幼馴染三人で思い出話に花を咲かせていた。
桂「葵咲は覚えているか?ほら、いつもポテトチップス片手に、デブって言ったら怒る奴。」
葵咲「ああ!秋道君?確か口癖は、『デブじゃない!ぽっちゃり系だァァァァ!!』だったよね?」
銀時「それ別の漫画だよね?いのしかチョウトリオだよね?」
二人の話す“秋道君”は明らかにNAR●TOの登場人物であるが、銀時のツッコミに二人は反応せず、話はさくさく進む。
桂「あいつも攘夷戦争に参加していてな。子どもの頃のイタズラ癖はそのままだった。戦場ではよく銀時にイタズラしていたものだ。」
銀時「そいつの苗字秋道じゃねーよ。春道だよ。」
どうやら銀時の会話から察するに、銀時にイタズラする輩は本当にいたようだ。だがそれは“秋道”ではなく、“春道”。銀時はいつもの死んだ魚のような目を二人に向ける。
桂「闘いの最中イタズラされる銀時の顔は人に見せられたものではなかったぞ。」
葵咲「えー?どんな顔だったの?」
桂「顔を真っ青にして本気で吃驚してたな。」
銀時「ったりめーだろ。TPO考えろって話だろーが。」
自分が話のネタにされる事があまり面白くない様子の銀時。少しムスっとした表情で二人を睨む。
そして桂の悪ノリに火がつき、当時の銀時の顔を真似して見せた。
桂「ちなみにこんな面だった。」
葵咲「あっはははは!!ヤバイ!!お腹よじれる!!」
真似して見せた、というよりは変顔にして馬鹿にしている桂。それには流石の銀時も大激怒だ。
銀時「んな顔してねーよ!!オメーは話脚色すんなやァァァ!!」
葵咲「ちょ、銀ちゃん、これもう一回再現してよ!」
銀時「誰がやるか!!」
三人が変顔で盛り上がっていると、土方が病室へと戻ってきた。
土方「おい、入るぞ。」
(銀時・葵咲:!? ゲッ!!)
銀時「ヅラ!もう一回隠れろ!(小声)」