第32章 前に進む為には、まずは一歩から確実に。
新八「今晩から警備が厳しくなるなら桂さんは来れなくなっちゃうでしょ。」
長谷川「俺達はいつでも来れるしな。」
神楽「今は三人で昔話に花咲かせるといいネ。」
新八「幼馴染三人、水入らずで。」
思いがけない三人の心遣いに、葵咲はじーんとしてしまう。そして折角の好意を素直に受け取る事にした。
葵咲「みんな、ありがとう。じゃあエレベーターのところまで送るよ。」
全治三週間とは言っても、院内でなら動くことを許可されている。葵咲はゆっくりとベッドから降り、スリッパを履く。そして点滴の装置をコロコロと押しながら歩き出した。
銀時は窓枠に持たれかかりながらヒラヒラと手を振る。
銀時「俺らはここで待ってるわ。」
葵咲「うん、お見送りしたらすぐ戻るね。」
四人が病室から出て行き、室内二人だけになったところで、桂が静かに口を開く。
桂「…なぁ、銀時。」
銀時「ん?」
桂「慕っていた幼馴染に利用され、しかも挙句の果て刺されるなんてのは…一体どれ程の苦痛だったのだろうな。」
銀時「!」