第32章 前に進む為には、まずは一歩から確実に。
葵咲「あははっ、そうなの!だから今日のところはこれで!」
土方「なんだ?まるで俺達がいちゃマズイみてぇな言い方だな?」
来て早々追い返されそうになる事に、土方は不服の表情を見せる。葵咲は慌てて首を横に振った。
葵咲「いや!そ、そんな事はないけども!断じて!!」
(銀時:オイィィィィ!!隠し事下手すぎんだろ!目ェ泳ぎすぎ!そこも昔と全然変わってねェェェ!!)
怪しまれないようにと首を横に振った葵咲だったのだが、それが逆に怪しかった。
銀時の冷や汗は滝のように流れ落ちる。鋭い眼光で葵咲や銀時を見る土方の視線が痛い。
土方「・・・・・。」
近藤「まぁいいじゃないかトシ。今は療養中なんだ。そう気を張り詰める事もないだろう。」
睨みつける土方を宥めるように、近藤が土方の肩にポンっと手を置く。近藤がこんな人柄で助かった、そう思い、銀時と葵咲は胸を撫で下ろす。
だが、土方の表情が緩むことはなかった。
土方「何言ってんだよ近藤さん。気を張る必要があるから今日話しに来たんじゃねーか。」
近藤「あ、そうだっけ。」
先程も記述したとおり、真選組のツートップが雁首そろえて葵咲の見舞いに来るのは初めての出来事。その様子からただ事ではないのだと予め察してはいたが、土方の様子を見るに、思ったより事態は緊迫しているようだ。
恐る恐る、新八が二人に尋ねる。
新八「どうかしたんですか?」
土方「ここ最近、攘夷派の動きが激しくなってやがる。」
近藤「鬼兵隊もそうだが、暁党の動きも活発になってきていてな。」
どうやら今日二人が病院に訪れたのは、単に見舞いに来たのではなく、活発になっている攘夷志士の話をしにきたようだ。