第31章 旧友に忘れられて自分だけ覚えているのは何か悔しい
銀時「おい、俺が行くまで高杉んトコでは大人しくしとけよ。」
葵咲「え?何言って…。」
銀時「真選組(あのバカども)振り切って俺が助けに行くっつってんだよ。」
そこまで聞いて葵咲は、目を大きく見開いて掴まれていた銀時の手を振り払う。
葵咲「何バカなこと言ってんの!?」
銀時「バカな事言ってんのはお前の方だろ。高杉相手にお前一人でどうにかなるわけねぇだろうが。」
目の前で始まる口論に、新八はおろおろとしてしまう。
だが二人の口論は止まることなく続く。
葵咲「これ以上巻き込めるわけないでしょ!?私は誰も巻き込みたくないんだよ!!」
銀時「もう十分巻き込まれてんだよ!!」
葵咲「!!」
その言葉にハッとする葵咲。葵咲は言葉を紡げず、口を噤んだ。
銀時「どうせ巻き込むなら、最後まで巻き込めバカヤロー。ま、お前が何も言わなくてもこっちから勝手に巻き込まれに行ってやるけどな。」
葵咲「なんで…。」
そこまでしてくれるのか。分かり兼ねた葵咲はきゅっとした表情をして視線を逸らす。
先程までの口論の勢いはなくなっていた。
銀時「陰から見守るのはもう卒業ってことだ。」
葵咲「!」
銀時「お前もいい加減、人を遠ざけるの卒業しろよ。少なくとも、俺には頼って来い。」
葵咲「…銀ちゃん…。」
葵咲は下唇を噛み、銀時に視線を向けた。
そしてそれ以上は一歩も引き下がらない銀時に折れ、葵咲は首を縦に振って万事屋を出て行ったのだった…。