第31章 旧友に忘れられて自分だけ覚えているのは何か悔しい
暫くして葵咲の気持ちが落ち着き、銀時は再びソファへと腰掛けた。
葵咲はソファには座らず、申し訳ないといった表情で下を向き、銀時の前の床の上で正座していた。
銀時「・・・・・。」
葵咲「ご、ごめん、本当に思いっきり泣いちゃって…。」
大きく反省するように俯く葵咲。銀時は葵咲を責めちゃいないが、一つだけ文句を言った。
銀時「いや、泣くのは構わねぇけどよ。人の服をハンカチ代わりにすんのやめてくんない?ハンカチっつーかティッシュ?鼻水まみれなんだけど。つーか一回俺の服で鼻かんだよね?」
葵咲「・・・・・。」
そう、銀時の着物は葵咲の涙だけでなく、鼻水まみれになっていたのだ。無意識のうちに鼻をかんでしまったから。葵咲は土下座するように正座したまま深く頭を下げる。
葵咲「ちゃんと洗濯して返させて頂きます…。」
そして次の瞬間、葵咲はバッと立ち上がり、銀時の胸倉を掴んだ。ちなみに銀時を見つめる葵咲の眼差しは真剣そのものだ。
葵咲「じゃあ服、脱いでくれる?さっ、早く。直ちに!」
銀時「は!?今!?ここで!?どんな羞恥プレイ!!??」
葵咲「脱いでくれないと洗って返せないじゃん。」
銀時「別にいいって!それより…。」
いくら幼馴染とはいえ、そんな羞恥プレイはごめんだ。
銀時は葵咲の申し出を断って話を戻そうとするが、葵咲は引き下がらない。
葵咲「いいから脱げ。」
銀時「え?」
葵咲「これ以上は迷惑掛けられないんだからー!!」
そう言って葵咲は銀時を床へと押し倒した。
銀時「ちょ!おい!やめろっ!!こっちのが何倍も迷惑だろーが!!」
服を脱がせようとする葵咲。それに銀時は必死に抵抗する。
銀時「いい加減にしろォォォ!!!」