第31章 旧友に忘れられて自分だけ覚えているのは何か悔しい
銀時「嘘付けェェェェェ!!!!!絶対ぇ今初めて気付いたろうがァァァァァ!!」
葵咲「おかしいなぁと思ってたんだよ。えらく大きな表札だなぁって。しかも“ちゃん”付けだし。」
銀時「あれ表札じゃねーよ!看板んんんんん!!」
まさかの万事屋の看板を表札だと思い込んでいたという所業。これには銀時も唖然とするしかない。
そして銀時は更に鋭いツッコミを入れる。
銀時「どうせオメーの事だから『えらく自己主張強い奴だなぁ。』とか思ってたんだろ!それで勝手に解決してたんだろ!!」
葵咲「ぎくっ。」
葵咲の頬に一つの汗が流れる。どうやら図星のようだ。葵咲は万事屋の看板を“自己主張が強い奴の大きな表札”だと思い込んでいたらしい。
銀時「図星じゃねぇかァァァァァ!!」
葵咲「に、似てるなぁとは思ってたよ!…たまに!」
銀時「たまに似てるってなんだァァァ!!たまにってェェェ!!」
ツッコミどころ満載の葵咲の返しに、それまた全力で返す銀時。少し疲れてきているようにも見える。そして葵咲は次の台詞を吐く時はしっかりと銀時の目を捉えて返した。
葵咲「これはホントだって!なんていうかね、たまに幼馴染の男の子に似てるなぁって思う時があったんだよ。影から凄くよく見てくれてるなって。」
嘘を吐く時は目を逸らしてしまう癖のある葵咲だ。どうやらこれは嘘ではないのだろう。だが、その意見には違う意味で異議を申し立てたくなった銀時は、真剣な眼差しで静かに返す。
銀時「なんだよ。それじゃ俺がストーカーみてぇじゃねーか。」
失礼な。そう言いたいのは“陰から見ている”という行動は、近藤を思い起こさせるからだ。
近藤と一緒にされる事を不快に思った銀時は不服そうな顔をするが、葵咲は至って真剣に返した。
葵咲「昔そんな感じだったよね?木の陰から私の事見てたでしょ?いつも。」
銀時「余計なことまで思い出してんじゃねェェェ!!つーか気付いてたんなら声掛けろよ!昔ィィィ!!」