第3章 男の下心には気を付けろ。
一先ず万事屋に戻ってきた四人は、葵咲の奉公先探しの為、その募集要項を書いたチラシの作成に取り掛かった。
銀時「じゃあまずはビラ作成からだ。女中奉公させて下さい、女中奉公人貰って下さいって内容な。」
新八「…普通逆ですよね。こういうチラシって逆の立場からしか作らないんじゃないですか?『女中奉公人募集中』ですよね。なんかコレ、子犬もらって下さい、みたいになってますけど。」
銀時「細かいことは気にすんな。そんなこと言ってたらハゲるぞ?お前眼鏡でオタクな上にハゲじゃあ、人生終わってんぞ。」
志村家での口喧嘩で言い負かされた銀時は、ささやかなる仕返しのようにさらっと新八の悪口を言った。それに神楽は乗っかった。
神楽「新八ゲネ。」
新八「新八ゲって何だァァァ!!八をハって読ませるなァァァ!!」
二人のそんなやりとりを無視し、銀時は葵咲に問いかける。
銀時「お前何か資格とか検定とか持ってねぇのか?書けるだけ書いといて損はねぇだろ。」
問われた葵咲は考え、思い出すように上の方を見ながら、そして指折り数えながら答えた。
葵咲「資格ですか?えっとー…普通免許、大型免許、大型二輪、簿記、税理士、教員免許、秘書検定、図書館司書、司法書士、行政書士、介護士、栄養士、衛生管理者、パソコン検定、色彩検定、英検、漢検…それからー…。」
まだまだ出てきそうだったので、一旦銀時は止めるように割って入る。
銀時「…オイオイオイオイ、どれだけ持ってんだよ。派遣の品格ですか?コノヤロー。」
葵咲はそのツッコミに、護り屋を営む上での苦労を思い出し、頭を掻きながら苦笑いで自分の金銭事情を話した。
葵咲「護り屋の仕事だけじゃ生活出来なくて…。」
銀時「そんだけ資格持ってたら普通の就職先いくらでもあっただろ。別の仕事就けよ。」
そうして町内に配るチラシを完成させた四人は万事屋を出て、スナックお登勢の前で再確認を行なう。
銀時「よし、じゃあこのビラ手分けして配るぞ。ビラは壁にも張る!宣伝しまくるぞ!」
「おぉー!」
葵咲「じゃあ私は恒道館道場の方に行きますね。お妙さんにも説明してきます。」
そう言って葵咲は小走りに恒道館道場方面へ向かっていった。