第3章 男の下心には気を付けろ。
その様子を見て、銀時が立ち上がりながら葵咲に声をかけた。
銀時「じゃ、早速行くとするか。」
葵咲「え?」
銀時「奉公先探し。ずっとここにいるわけにもいかねぇだろ?兄弟二人の家に転がり込むなんざ危険過ぎ…」
銀時が全てを言い終わる前に、妙の飛び蹴りが銀時の顔面にクリーンヒットした。
妙「誰が兄だゴルァァァァァ!!」
『きょうだい』と言った銀時だったのだが、『兄』、つまり『男』のニュアンスを聞き逃さない妙だった。
葵咲「それは私がなんとかしますよ!これ以上ご迷惑をお掛けするわけには…。」
銀時「…銀さん大丈夫?とかそういう心遣いはないの?ねぇ。」
飛び蹴りを食らった自分が顔を腫らして鼻血を出しているにも関わらず、無視される事に寂しさを抱いて葵咲にツッコむ銀時だったが、更にさらっと流されたのだった。銀時は仕方なく話を元に戻した。
銀時「お前一人に任せたら危ないだろーが。さっきみたく俺みたいな奴に丸め込まれたらどうすんだ?毎晩枕営業だぞ?」
新八「…やっぱりさっきのはそういうつもりで言ってたんだ…。」
ついうっかり本音を口にしてしまった銀時。それに対して新八は、聞き逃さずにツッコんだ。焦って銀時は言い訳するが、時すでに遅しだ。
銀時「ばっ、ちげーよ。さっきのはコイツを試す為に言った試験みてーなもんだよ。」
新八「やっぱりそういうことだったんだ。」
銀時「試験だからね?銀さんはそんないやらしい事これっぽっちも考えてないからね?」
新八「・・・・・。」
新八の銀時を見る目は冷たい。
銀時「なんだよ、その疑ってる目は。行くぞ。」
何を言ってももう無駄だと判断した銀時は、諦めて客間を出た。
新八「あ、誤魔化した。」
新八のその一言を残し、銀時、新八、神楽、葵咲の四人は、住み込みで働ける職場を探す準備の為に、一旦志村家を出て万事屋に戻る事にした。