第30章 人間大事なのは肩書きじゃなくて、中身。
近藤「それなら俺だって失格でいい!!俺もこの場を離れはしねぇ!!」
葵咲「…近藤さん…まで…。とんだ…お人よし集団、ですね…。」
力なく笑う葵咲。肩で息をしながらも更に言葉を振り絞った。
葵咲「・・・ハァッ、ハァッ、ごめ…ん・・・な・・さい。」
土方「おい、もういい!無理に喋るな!」
葵咲「ずっと…ずっと黙って…て・・・。」
土方「いいから喋るな!!」
喋ればその分、体力を消耗する。傷口も開くかもしれない。土方は必死にやめさせようとした。
葵咲「みんな・・・が、凄く・・・優しく…してくれ…て…ホントに嬉し…かった。ホント・・・は、お金貯めて…すぐにでも屯所、出る…つもりだった…のに、居心地が良くて…温かく…って・・・身動き・・・取れなくなってた・・・。」
土方「やめろ!!喋るなっつってんだろうが!!」
葵咲「本当…に・・・ごめん…なさい・・・・。」
虚ろな表情で言葉を搾り出す葵咲。
そして今度は総悟の方にゆっくりと顔を向けた。
葵咲「沖田…さん。本当に・・・ごめ…ん、なさい・・・・。私、貴方の・・・お姉さんの、代わり・・・なれなかっ…た・・・・。」
総悟「!! 俺は…。」
突然向けられた自分への謝罪の言葉に、総悟は言葉を詰まらせる。
葵咲「それ、と…さっきは…、私と高杉を…攻、撃…してくれて、あり…がと。」
総悟が責任を感じないように、罪の意識に苛まれないように、先程の総悟の選択は間違っていなかったのだと言うように。今度は謝礼の言葉を述べた。
総悟「!? …っ!葵咲姉ぇっ、ごめ・・・・。」
葵咲の言葉を聞いた総悟は謝ろうとした。
だがそれを遮るように葵咲が言葉を続ける。その言葉は総悟が耳を疑うような言葉だった。