第30章 人間大事なのは肩書きじゃなくて、中身。
出血が酷い。
刺された腹部から溢れ出る血はその場に血溜まりを作っていた。
土方「市村!!」
銀時「おい!しっかりしろ!!」
近藤「大丈夫か葵咲!!」
山崎「葵咲ちゃん!!」
四人は慌てて葵咲のもとへと駆け寄る。
一番に葵咲の傍に来た土方は葵咲を抱き起こし、しっかりとその腕で葵咲の肩を抱きかかえる。
新八「今救急車呼びます!!」
新八と神楽は葵咲を救うべく動いた。銀時は自らの着物の袖を破り、葵咲の傷口に当てて流れ出る血を押さえようとする。
始めは頭に血が上っていたという事もあり、状況を把握出来ていなかった総悟だが、少し頭も冷えて今目の前で何が起こっているのか、状況を掴み始める。現状を理解した総悟だが、この事態を引き起こしたのは自分が取った軽率な行動だという事もあり、総悟はその場から動く事が出来ずに少し離れた場所から、ただただその様子を見ていた。
総悟「・・・・・っ!」
土方の腕の中で、葵咲は必死に言葉を紡ぐ。既に虫の息といった様子に見える。
葵咲「何、してるん…ですか、早く…追わないと…逃げられて…しまい、ますよ。折角…傷、負わせられた…のに…。ハァッ…ハァッ…。」
土方「なら立てよ!お前が一緒に追ってくれんだろ!?お前が片付けようとしたヤマだ!お前が一緒に行かなきゃ意味ねぇだろうが!!」
葵咲「今の私には…無理、です…。早く・・・・。」
土方「だったらお前が回復したら行く!お前が回復するまで俺はお前の傍を離れねぇ!!」
葵咲「目の前の…捕らえられる、敵を…逃す、なんて…真選組…失格、です、よ・・・・。」
なんとか高杉の後を追わせようとする葵咲だが、土方は頑なにその場から動かず、葵咲を離そうとはしない。
そして近藤もまた、葵咲の手を強く握りながら呼びかけた。