第30章 人間大事なのは肩書きじゃなくて、中身。
総悟を煽るように発せられる言葉に、土方は慌てて割って入る。
土方「おい、やめろ!何言ってんだ!!」
だが、総悟には近藤や土方が葵咲を止めようとしている事など全く見えていない様子。頭に血が上っているようだ。
総悟は暗く俯き、そして冷たい視線を葵咲に向けて言った。
総悟「その心配はねぇや。人質ごと俺がぶっ殺してやる…!!」
近藤「やめろ!総悟!!」
愛情と憎しみは紙一重。葵咲に対する愛着が人一倍強かっただけに裏切られたという思いが、より大きな憎しみを膨らませているのだろう。
総悟から向けられる憎しみの刃に、葵咲は安心したかのようにフッと笑みを漏らす。
そして、高杉に押さえつけられていた腕で、逆に高杉を押さえ込んだ。
(高杉:っ!…動けねぇ・・・・・!)
その時、葵咲は高杉に小声で何かを囁いた。高杉は一瞬眉をピクリと動かしたが、何も答えなかった。
総悟は葵咲と高杉にバズーカーを向ける。総悟を止めようと近藤達は総悟の方へと駆け出すが、その距離は開いており、間に合いそうにない。
だがちょうどその時、階段を駆け上がってきた銀時が総悟に向かって飛び込んだ。
銀時「くっそォォォォォ!!!!!」
総悟「つっ!」
間一髪、総悟が攻撃する前に銀時が飛びつき、総悟の体勢が崩れた。そして体勢が崩れたまま引き金を引いてしまった為、その攻撃はちょうど葵咲達の頭上へと命中する。
総悟は銀時に押し倒された形になり、二人はその場へと倒れこんだ。
バズーカーの攻撃で崩れ落ちる天井。その事により、足元もひどく揺れた。葵咲はよろめき、高杉を抑えていた手が緩む。
そしてその隙に高杉は刀を構え、背後から葵咲の脇腹を刺したのだった。
高杉「・・・・・。」
葵咲「くっ…はっ・・・・!!」
「!?」