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銀魂 - 雪月花 -

第29章 身近な人であるからこそ、知られたくない事もある。


ビルの最上階では葵咲と高杉が剣を交えていた。
交えていたといっても葵咲は防戦一方。高杉の攻撃を防ぐので精一杯だった。
いや、そもそも葵咲の戦術は交戦的ではない。人を護る為に扱っている剣術。誰かを殺傷するには不向きなのだ。
高杉はその事を読んでいるかのようだった。


高杉「どうした?その程度で俺に勝てると思ってんのか?お前のその剣術じゃあ俺にゃあ勝てねぇだろう。」

(葵咲:確かにそうだ。私の戦い方じゃ、この人には勝てない…!戦い方を変えなきゃ。…思い出せ、そーちゃんや近藤さん、土方さんの戦い方を。私じゃない人の…戦い方を…!!)


葵咲は一旦後ろに引き、考えを巡らせた。そして思い出す。真選組で過ごした日々の事、道場で一緒に稽古をした事、隊士として戦いに出陣した事を…。
再び高杉と刃を交え、高杉は葵咲の戦術が変わった事に気付いた。


高杉「っ!!…ククッ。悪かねぇ太刀筋だな。」

葵咲「これでも一応、実践の毎日だったから!」


先程までの防戦一方とは打って変わり、今度は葵咲が攻撃を仕掛ける。葵咲が高杉を押しているようにも見えた。
だがその時、この階へと上がってきた近藤の声が響く。


近藤「葵咲ァァァァァ!!」

葵咲「!?」


その声を聞いた葵咲は気を取られ、一瞬の隙が出来た。そして高杉はそのスキを突く。


高杉「だが…甘いな…!!」


高杉の攻撃を防ごうとした葵咲だったが、反応が遅れ、身体をのけぞらせるのが精一杯だった。
高杉の刀は葵咲の胸元を掠めた。そして葵咲の胸元の着物が少し切られた事により、葵咲がいつも身に着けているネックレスが姿を現す。
リングをチェーンに通しただけのシンプルなネックレス。ネックレスは掠めた高杉の刃先に引っ掛かり、そのまま切れて落ちてしまった。リングはチェーンから離れて転がっていく。


高杉「!」

葵咲「つっ…!!」


後ろに身体をのけぞらせた事により、よろめく葵咲。
ちょうどその時、近藤、土方、山崎の三人もこの場へと居合わせた。
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