第29章 身近な人であるからこそ、知られたくない事もある。
その頃、先に階上へとのぼっていった真選組の三人は無事に隣の大江戸第一ビルへと飛び移っていた。
ビルに突入した三人は、一先ず階段を駆け下りる。先程葵咲と高杉の姿を目にしたのは六階。ビルを飛び移れたのは八階だったのだ。
三人は六階まで降りてきて辺りに目を凝らす。この日は生憎の雨。太陽が差し込まないビルは薄暗く、辺りの見通しが悪かった。
土方「何処だ!?」
近藤「あっ!上だァァァ!!」
このビルは建設を途中で放棄された為、場所によっては階の上下が見通せる。
近藤がふと見上げた際に、上で戦う葵咲の姿を発見したのだった。
土方「くそっ、上だったか…!!」
八階から六階まで降りてきたわけだが、葵咲達はその更に上にいた。ビルに飛び移った際に、上の様子を確認せずに下りてきてしまった事を土方は酷く後悔した。
三人は再び階段を駆け上がる事になった。