第28章 笑顔の裏には苦悩がある。
襲い来る攘夷志士達を薙ぎ払い、土方達はなんとかビルの入口へと辿り着く。
ビルへ突入しようとした一向だったが、思わぬ足止めを食らう事になる。
近藤「くそっ!扉が開かねぇ!!」
新八「中から鍵が掛かってます!」
神楽「ホァタァァァ!!…駄目ネ、びくともしないヨ!!」
この大江戸第一ビルは建設放棄のビルだが、入口の扉だけは強固な鉄で作られており、ちょっとやそっとの攻撃では突破出来ない代物だった。
銀時「チィッ。おい!隣のビルに回るぞ!この距離ならギリギリ飛び移れる!」
不幸中の幸いと言うべきなのだろうか。このビルは隣のビルと隣接していた。
隣は廃ビルとなっており、入口は自動ドアのガラスが割れた状態になっている。しかもビル付近は攘夷志士が手薄になっていた。
六人はそちらへと向かう。
そしてビルの入口を突破する際、新八の目にビル名が飛び込んできて、思わず言葉を失った。
新八「ん?“歌舞伎町ビル”…って隣のビルだったんかいィィィ!!」
差し替えられた報告書に書かれていたビル名と同じである。
そんな新八のツッコミが聞こえているのかいないのか、近藤は自らの抱える疑問を真剣な表情で悔しそうに口に出していた。
近藤「くそっ、何故なんだ、葵咲…!!」
新八「ホントなんでなんだよ!意味ねーだろ!!これ、ただのイタズラじゃねーかァァァ!!なんであの人報告書差し替えたの!?差し替えた事に何の意味があったの!?」
そして今度は何かを閃いたかのように土方が目を見開く。
土方「そうか…!あいつ…扉に鍵が掛けられてる事、知ってたのか…!」
新八「それだったらただの親切じゃねーか!絶対違うよ!さっきの銀さんの話からして明らかに一人で戦うつもりだろうが!天然通り越して、ただのバカだよ!!」