第28章 笑顔の裏には苦悩がある。
一度は話を終わらせようとした銀時だったが、なおも真剣に話す葵咲に黙って耳を傾けた。
葵咲「実は今退君にマークされてて…このままじゃ彼を巻き込む形になってしまいます。高杉と会う約束をしてるのが明日。多分明日も退君は私の後を尾行(つ)けて来ると思います。高杉の事だから退君の気配に気付くはず…。」
銀時は今度は口を挟む事なく、静かに葵咲の話を聞いていた。そして葵咲は意を決したように言葉を紡ぐ。
葵咲「高杉が退君に気付いたその時は、私が退君を始末する形に持っていきます。」
銀時「なっ!!」
これには銀時も驚き、思わず立ち上がる。
銀時の形相に驚いた葵咲は慌てて両手を前に出して銀時を落ち着かせるように言った。
葵咲「勿論、演技ですよ。私が引き受けて退君を殺すフリをするんです。そこで一つお願いです。退君に一太刀与えたぐらいで割って入って止めて欲しいんです。」
葵咲の依頼を詳しく聞く為に、銀時は一先ずもう一度ソファに腰掛ける。
葵咲「その後私は屯所に戻るので、頃合を見て万事屋さんも屯所に来て下さい。そして、私が退君を斬ったのだと告発して欲しいんです。それから私は高杉の下へ向かいます。」
葵咲の依頼を黙って聞いてはいるが、銀時は納得はしていないといった様子だ。