第28章 笑顔の裏には苦悩がある。
銀時「チッ。これだからガキは…。口の軽さは羽毛布団級だなオイ。」
どうやら近藤の言う“確かな筋”とは、新八と神楽の事のようだ。
銀時が観念した様子を見て、土方は一先ず刀を下ろす。刀が首元から離れたのを確認し、銀時は頭をボリボリと掻きながら振り返って土方達の方へと向き直った。
銀時「ったく、どんだけ粋がってても、ちょっと生徒指導の先生に怒られただけでスカートの長さ校則どおりに戻しちまうんだよ。約束なんてすぐ破っちまうんだよ。友達も裏切っちまうんだよ。」
土方「誰が鬼の生徒指導だコラ。」
新八「誰も“鬼の”とは言ってませんよ。」
そんなやり取りをしていると更にもう一人、この場に駆けつける人物がいた。
山崎「旦那!やっと見つけた!!」
監察の山崎だ。山崎は痛む傷口を押さえながら、必死に走ってこの場へと駆けつけた。
山崎の無事な姿を見た近藤は、とても安堵した様子で笑顔を向ける。
近藤「ザキ!無事だったんだな!!」
土方「ちょうど良いところにきた。これで役者が揃ったな。」
土方は下ろした刀を一度鞘へと納めた。“役者が揃った”、その意味を察した銀時は静かに沈黙を落とす。
この場へ来たばかりで状況を把握出来ていない山崎は、土方へと疑問をぶつける。
山崎「役者が揃ったって?」
土方「いや、こっちの話だ。お前はコイツに用があんだろ?」
促されて山崎は銀時の方へと向き直る。
山崎「え?あ、そうだ。万事屋の旦那、アンタに一つ確かめなきゃいけない事がある。」
銀時に真剣な眼差しを向ける山崎。その場にいる誰もが固唾を呑んで見守った。
山崎「…旦那も共犯なんでしょ?」
山崎の言葉に誰も驚く様子を見せない。その場にいる全員が予期していた言葉だったように、静かに二人の様子を見守っていた。
銀時は呆れたような顔をして近藤を親指で指差しながら言う。
銀時「何おかしな事言ってやがんだ。それならさっき近藤(こいつ)助けたりしてねーよ。」
山崎「違う。高杉にじゃない。葵咲ちゃんに、だ。」
誰も何も言わず、ただ静かに山崎の言葉に耳を傾ける。
山崎「昨日のアレは演出だったんでしょ?あのままじゃ、俺が高杉に殺られるから…。」
銀時「・・・・・。」