第28章 笑顔の裏には苦悩がある。
傷の痛みに耐えながらも銀時の姿を探す山崎。その問いかけに新八は少しバツが悪そうに表情を曇らせた。
新八「銀さんは…ちょっと出掛けてて…。」
山崎「奴らの、高杉の所へ行ったんだろ?」
そう言ってゆっくり立ち上がる山崎。傷を押さえながら玄関へと向かって歩き出した。
新八「山崎さん、ダメです!」
山崎「…まるで俺が行くとマズイみたいだね。」
一瞬ドキリとした新八だったが、山崎の怪我の具合を心配しながら行く先を阻んだ。
新八「そんな身体じゃ無理だって言ってるんです!」
神楽「そうネ、今のジミーが行ったところで足手まといになるだけネ!」
山崎を止めるのには神楽も加わった。だが、山崎はそんな二人を押しのけて玄関へと向かう。
山崎「例え足手まといだとしても、俺は行かなきゃ。」
新八「山崎さん…。」
山崎の固い意思を見た新八達はそれ以上は何も言えずにその場に立ち竦む。
山崎「どうしても確認しなきゃならない事があるんだ。」
その言葉を残し、山崎は万事屋から走って出て行った。新八と神楽も山崎の後を追って万事屋を出る。
新八「山崎さん!」
神楽「アイツ怪我人のくせにどんだけ足早いアルか!」
雨が降っているという事もあり、視界は悪い。万事屋から出てきた二人は辺りを見回すが、山崎らしき人影は見あたらなかった。
新八「でも行先はきっと “大江戸第一ビル”だよ!僕らも行こう!」
「おいガキども。その話、詳しく聞かせろ。」
聞き覚えのある声に振り返る新八達。
新八「え?…あ・・・・っ!!」
声の主の姿を見つけると共に、新八は声を上げた。