第28章 笑顔の裏には苦悩がある。
翌日明朝、天気は生憎の雨。しとしとと降り注ぐ雨は静かに地面を濡らす。
至って静かな雨ではあるが、無音の室内にその音は響く。寝ている男を起こすかのように雨音は鳴り響いていた。
山崎「ん…。」
雨音で目を覚ました山崎は、静かに目を開ける。
神楽「あっ!気が付いてしまったアル!」
目を開けて一番に飛び込んできたのは神楽の顔だ。神楽は山崎看病の為に夜通し隣についていたのだ。
葵咲と対峙し、意識を失う直前に銀時の姿を見ていた山崎は、今自分が何故万事屋にいるのかを瞬時に察した。その為、目にした神楽に驚く事は無かったのだが、その発言の方に驚かされたのだった。
山崎「何その言い方!気が付いたら悪いみたいな言い方!」
神楽「お前は地味に密かに息を引き取るといいネ。」
山崎「何この子!さらっと死ねって言ったよ!さらっと!!…ぐっ!」
ツッコミの際に思わず起き上がる山崎だったが、胸の痛みに苦痛の表情を見せる。山崎はいつも銀時が寝ている和室に寝かされており、山崎の声を聞きつけた新八がひょっこり姿を現した。どうやら新八もこの日は山崎の看病の為に万事屋に泊まったらしい。
新八「山崎さん、無理しないで下さい。そのまま安らかにお眠り下さい。地味キャラは僕だけで十分ですから。」
山崎「お前ら俺を殺す気なのかァァァ!!」
再び眠るようにと布団へ押し付けようとする新八に山崎はキレた。
だがやはり傷が痛むのか、胸元を押さえながら背を丸くする。その様子を見た新八は心配そうに山崎の背に手を置きながら顔を覗き込む。
新八「あっ、本当にあまり動かない方が良いですよ。傷口はまだ塞がってないんですから。」
山崎「…そうだ、昨日葵咲ちゃんが…!新八君、万事屋の旦那は!?」