第27章 仲間とは最後まで信じ抜く覚悟があるかどうか。
解散し、隊士達は各々の思惑を抱える。そのほとんどは眠れない夜を過ごした。それは土方も同じだった。
土方は一人、縁側へと座り込み、煙草を吸っていた。
どれ程の時間、この場に留まっていたのだろうか。足元には何本もの吸殻が転がっている。
土方「・・・・・。」
近藤「眠れないのか。」
無理も無い、そういった表情で近藤は土方に優しく声をかけた。
そして近藤も土方の横へと腰を下ろす。
近藤「お前も今回の件は外れた方がいいんじゃないか?」
土方「だったら誰があいつを斬るってんだ。」
相手の顔を見て話そうとする近藤とは対称的に、土方は近藤の方には目もくれずにただ下を向いていた。
近藤「…トシ、やっぱりお前も今回はやめておけ。」
土方「なっ!何言ってんだよ!」
重みのある近藤の言葉には土方も思わず顔を上げ、慌てて近藤の方へと向き直る。
近藤「迷いのある奴は今回出陣すべきじゃない。」
近藤の放つ言葉は至って真剣なものだった。近藤は真剣な眼差しで土方を見据えた。その視線に耐え切れなくなった土方は、視線を逸らすようにまた地面の方へと目を向ける。
土方「じゃあ…アンタには一片の迷いもないってのか…?」
近藤「ああ。迷いなんて一つもねぇ。覚悟は出来ている。」
土方「!?」
間髪入れずに返答されるその言葉に、土方が驚いたのは無理も無い話だ。人情という言葉の似合う近藤からそんな言葉を聞く日が来るとは。いや、真選組の局長として当然の選択であり、然るべき発言なのだろうか。
近藤の言葉を受け止め、土方は静かに復唱するように言葉を放つ。
土方「あいつを…斬る覚悟か。」