第3章 男の下心には気を付けろ。
部屋に上がった葵咲は、ひとまずソファに腰掛けた。その向かい側に銀時と神楽が座る。来客用のお茶を出す為、新八は席を外した。
銀時「村田鉄子の紹介って…知り合い?」
まず銀時が思った疑問を投げかけた。
葵咲「刀を見てもらって仲良くなったんです。それで色々相談したら、万事屋さんならきっと力になってくれるだろう、って…。」
銀時「なるほどな。で?どうしたんだ?」
そう聞かれた葵咲の顔は、一気に暗くなった。
葵咲「実は…私の棲んでた長屋、アパートが放火されて…全焼してしまったんです。」
思いもよらない相談内容に、銀時も表情が一変する。稀に見る、目と眉の距離が縮まったシリアス銀さんだ。背もたれにもたれかかって話を聞いていた銀時だったが、少し身を乗り出し、両膝に両腕を載せる形の前かがみになって真剣に答えた。
銀時「マジでか!…そうか、その犯人探しを俺達に頼もうってわけだな。」
銀時の推測を聞いた葵咲だったが、自分の依頼したい内容とは違っていた為、すぐさま訂正した。葵咲の表情は先程と変わらず、暗く真剣なままだ。
葵咲「違うんです。棲むトコ無くなっちゃったんで、安く泊れるトコとか、安い家賃のアパート紹介してもらいたくて。」
ちょうどその時、お茶を入れて戻ってきた新八は、すかさずツッコんだ。
新八「そんだけ!?すんごいシリアスな顔しといてソレ!?つかウチ不動産屋じゃないんですけど!!」
そんな新八のツッコミがあっても、銀時の表情は変わらない。前かがみになっていた上体を起こし、腕組みをして会話を続けた。
銀時「そういうことか…。神楽!」
神楽「ほい?」
真剣な表情の銀時は、葵咲の方を見据えたまま、横で酢昆布を食べながら話を聞いている神楽に命令した。
銀時「お前…今日から新八の家に住め。」