第3章 男の下心には気を付けろ。
万事屋の社長、坂田銀時は今日も特に仕事はなく、ソファに寝そべってジャンプを読んでいた。
新八「ちょっと銀さん、昼間っからだらしないですよ。」
これを注意するのは、万事屋で働く眼鏡、志村新八だ。
(新八「働く眼鏡って何だァァァ!!」)
新八のそんなツッコミが入ったところで、玄関のインターホンが鳴る。新八の小言から逃れる為、銀時は玄関へと向かった。
銀時「おっ、客か?はいはーい。どなたですかァ?」
葵咲「すみません、村田鉄子さんの紹介で来ました、市村と…。」
万事屋を訪れたのは、葵咲だった。予想外の客に銀時は、葵咲が自己紹介を言い終わらぬうちに思わず声を上げた。
銀時「おまえっ!」
聞き覚えのある声に顔を上げた葵咲は、銀時の顔を指差して答える。
葵咲「あっ!この間の!土方さんのお友達!!」
その返答に銀時は、片方の眉を吊り上げ、一気に顔を曇らせる。
銀時「だーかーらーっ!ちげぇっつってんだろぉがっ!!」
玄関に向かったきり帰ってこない銀時の様子を見に、新八も玄関へとやってきた。
新八「銀さん、お客さんですか?」
部屋の中から声が聞こえたが、銀時が自分の前に立ちふさがっていて中の様子が見えなかった葵咲は、銀時の左腕側から奥を覗き込むように顔を出して挨拶をした。新八側から見ると、銀時の左腕あたりから、突然葵咲の顔がひょっこり現れた形になる。
葵咲「こんにちは。」
突然現れた可愛らしい笑顔。この銀魂という世界で『可憐な』という言葉に相応しい女性キャラクターがあまりいない為、そういった人物に免疫のない新八は、少し頬を赤らめながら答えた。
新八「こっ、こんにちは…!」
そんな新八の様子を、銀時は死んだ魚のような目で無言で見る。少しの間の無言の後、銀時は葵咲を部屋の中へと促した。
銀時「ま、とりあえず上がれよ。」