第27章 仲間とは最後まで信じ抜く覚悟があるかどうか。
葵咲「ふふふっ…あはははっ。真選組もとんだお人好しよね。桂と一緒にいた事で私が攘夷側の人間だって事ぐらい分かってたはずなのに。それを…真選組に置いてくれるだなんて…笑える。」
不気味な程に冷たく笑う葵咲を見て、山崎は背筋を凍りつかせる。
だが、それと同時に怒りもこみ上げてきたのだった。
山崎「!! 皆、本当に君の事を…!!」
大切に思っている。仲間だと思っている。溢れ出す気持ちが最後は言葉にならなかった。そんな山崎の気持ちを裏切るかの如く、葵咲は冷徹な一言を浴びせた。
葵咲「そんなの…私には関係ない。」
山崎「っ!!」
葵咲「お喋りはこれくらいにして…そろそろ死んでくれる?」
どんな説得をしても無駄だと悟った山崎は覚悟を決める。覚悟を決めた山崎からは自然と震えが消えていた。
そして持っていた刀を強く握りなおし、葵咲に刃先を向けた。
山崎「…どうやら本気みたいだね。俺が、全力で君を止める!!」
次の瞬間、山崎は葵咲に向かって走り出した。そして今までの稽古で見せた、葵咲の戦い方や癖を思い出しながら刀を振るう。ただ闇雲に刀を振るっても、その矛先は受け流されてしまうだけ。フェイントも交えながら交戦する。だが、葵咲の方が一枚も二枚も上手だった。山崎のフェイントなど全てお見通しといった様子で無駄な動き無く全て交わしてしまう。
そして山崎は一瞬の隙をつかれ、左腹から右肩にかけて大きく斬られた。
山崎「がはっ!」
傷は浅かった。だが思ったよりも出血が多い。山崎は地面に跪き、傷口を抑えながら目の前に立ちはだかる葵咲を見上げる。
(山崎:やっぱり強い…殺られる…!!)
葵咲「さようなら。」