第25章 嵐の前の静けさ。
一方、屯所から全速力で駆け出してきた総悟は、この間の河川敷まで来ていた。
総悟は悔しそうな表情を浮かべながら、小石を水面に投げる。小石は二、三度跳ねた後、水の中へと落ちていった。
そんな寂しい情景を見ていると現実へと引き戻される。
(総悟:結局は葵咲姉ぇもヤローの事を一番に想ってやがるんだ。…全部持って行っちまいやがる。ヤローは俺の大切なモノ、全てを…。)
頭の中を考えたくも無い考えが巡っては消え巡っては消え…それの繰り返し。総悟はその場へと膝を抱えて座り込んだ。
そしていつかの近藤の言葉が頭の中に浮かび上がった。
『てめーが勝手に掘った小せェ溝なんて俺達はしらねぇよ。』
総悟「近藤さん、頭では分かってるつもりなんだ。アンタに殴られた時、分かったつもりだった。けど…心が追いつかねぇや…。」
自分の中の思いと葛藤するように頭を膝へと埋めた。