第25章 嵐の前の静けさ。
総悟「馬鹿にするのもいい加減にしろよ!アンタのそういう所が気にくわねぇんだ!俺はガキじゃねーんだよ!ガキ扱いすんな!!」
近藤「総悟!いい加減に…!!」
近藤が総悟を土方から引き剥がそうとしたその時、それよりも早く総悟の肩を掴んで止める人物がいた。
その人物は自らの方へと総悟を振り向かせ、思いっきり頬を平手打ちする。
スパーン!綺麗な音が辺りに鳴り響いた。
葵咲「いい加減にしなさい!!駄々こねる子供みたいな事言ってる貴方に、『子供扱いするな』なんて言う資格はない!」
普段、滅多に怒る事などない葵咲。他人相手に真剣に叱ったのはこれが初めてではないだろうか。そんな葵咲を目の前にその場にいた誰もが目を瞬かせる。
総悟は自分の言い分が認められないという現状に、またもや葵咲の姿を姉と重ね合わせた。
総悟「・・・・なん…だよ、アンタもかよ…。」
葵咲「?」
総悟「結局はアンタも姉上と同じなのかよ!アンタもこいつの事…!!」
そう言うや否や、総悟は走り出し、屯所から出て行ってしまった。
土方「あ、おい!総悟!!」
近藤「くそっ!」
すぐさま後を追おうとする近藤を、葵咲は止めた。
葵咲「待って近藤さん!暫く放っておきましょう。」
近藤「だが…!」
葵咲「これはあの子の我侭です。それを受け入れる事は本当にあの子を子供扱いすることになる。」
近藤「!」
葵咲の言い分に、ハッとする近藤。近藤は自分の行動を考え直して総悟の後を追わずにその場に残る事を選んだ。
葵咲「それより、今日は大切な任務があるでしょう。早く準備にかからないと、間に合わなくなりますよ。」
近藤「…そうだな。」
二人の会話に疑問を感じた土方はすかさず問いただす。
土方「なんだ?大切な任務って。俺ァ聞いてねぇぞ。」
近藤「なんだ葵咲、トシに言ってなかったのか?」
投げかけられる質問に、今度は葵咲がハッとなった。
葵咲「…あ。ごめん、言うの忘れてた。」
土方「おい。それ上司に対する態度か?報連相は仕事の基礎だろーが。」
少し疎外感を感じた土方だったが、葵咲から“大切な任務”について話を聞いた。