第24章 他人は自分より優って見える。
他の隊士達と合流すべく、街中を歩く総悟と葵咲。葵咲はシャキシャキと総悟の一歩前を歩く。
総悟は葵咲の背中を見ながらふてくされたように歩き、駄々をこねるように言葉を漏らした。
総悟「あーあ。葵咲姉ぇにヤクルト取られたんで喉が渇いちまったぃ。」
そして総悟は足を止め、目の前の少しオシャレなカフェを指差しながら言った。
総悟「ここ入りやせん?」
ふいに立ち止まる総悟を振り返り、葵咲も仕方なく足を止める。だが勿論そんな総悟の意見に同意はしなかった。
葵咲「今は仕事中です、隊長。それに早く他の皆と合流しないと。」
総悟「・・・・・。」
分かりきった答えではあったが、ほんの少しでも期待していただけに、葵咲の容赦ない回答に総悟は少し肩を落とした。
だが、落ち込む事はなく、すぐに頭を切り替えて葵咲の顔を覗き込むように顔を近付けた。
総悟「じゃあ今度オフの日にでも一緒に来やせんか?」
葵咲「そーちゃんここ来たいの?」
総悟「ええ。葵咲姉ぇと一緒に。」
総悟は微笑を零しながら、葵咲の頬にそっと手を触れる。葵咲は総悟に笑みを返し、そして自分の頬に触れた手を下ろしながら言った。
葵咲「はいはい。じゃあ、また今度ね。」
そう言って葵咲は踵を返し、再び歩き出す。なおも子ども扱いされる事に、総悟はムスっと膨れっ面をした。
総悟の前を歩き出した葵咲だったが、何かに気付いたようにハッとして振り返る。そして突如走り出した。
総悟「ちょ、葵咲姉ぇ!?」